緊急輸入制限
- 英語
- safeguard,emergency import restriction
- 同意語
- セーフガード , SG
特定品目の貨物の輸入の急増が、国内産業に重大な損害を与えていることが認められ、国民経済上緊急の必要性が認められる場合に、その損害を回避するために関税の賦課や輸入数量制限等によって行われる輸入制限のことで、関税および貿易に関する一般協定(GATT)19条で特例として認められており、世界貿易機関(WTO)においても「世界貿易機関を設立するマラケシュ協定設立協定附属書1A、物品の貿易に関する多角的協定(M)セーフガードに関する協定(WTOセーフガード協定)」に引き継がれている。
個別の国では、1970年代から法整備が進められており、先進国が主にセーフガードを発動していたが、1995年のWTO協定発効以降は、発展途上国における発動数が多数を占めるようになった。
米国では、通商法でセーフガード措置を規定し、調査および決定をアメリカ国際貿易委員会(ITC)が行うこととして、2002年の日本、欧州連合、中国、韓国が輸出する鉄鋼製品14品目に対して適用期間3年間のセーフガードを発動した例や、2009年に中国が輸出する乗用車、トラック用タイヤに対して発動した例がある。
日本では、閣議で発動を決定し、外国為替及び外国貿易法、輸入貿易管理令に基づく数量制限措置や関税定率法、緊急関税等に関する政令に基づく関税措置をとることとなっており、2001年に中国が輸出するイグサ、生しいたけ、ネギの急激な輸入増に対抗するため発動した例がある。
セーフガードを発動された国はWTO紛争処理小委員会(パネル)に仲裁を求めることができ、2002年の米国の鉄鋼製品に対するセーフガードを違法であると裁定した例もあるが、2001年の日本のセーフガードに対し中国が自動車、携帯端末、エアコンに100%の関税を課したように対抗措置をとることもある。