欧州安定メカニズム
- 英語
- European Stability Mechanism
- 同意語
- ESM
- 関連語
- ギリシャ危機 , 欧州金融安定ファシリティー , 流動性危機 , ソルベンシー危機
2010年5月にギリシャへの支援に合わせて市場から資金を調達できなくなったユーロ圏加盟国を厳しい条件付きで支援するために設立された欧州金融安定ファシリティー(EFSF)の期限切れに伴い、EFSFを継承し設立された欧州版IMFともいえる恒久的な危機対応の機関のことで、2012年9月のドイツ憲法裁判所のによる批准合憲判決(議会に将来の負担増額に関する拒否権を与える等一部条件付き)を受け、90%以上の出資が確保されたことで設立条約が発効し、10月に業務を開始した。
欧州安定メカニズム(EMS)は、深刻な金融危機に脅かされているユーロ圏加盟国に対して、当該国への貸付、国債購入、予防的金融支援、金融機関の資本増強のための当該国政府に対する貸付等の金融支援(ESS:ESM Stability Support)を行う。支援に使われる資金はドイツ等の信用力を裏付けに債券を発行して資金調達(最大で5000億ユーロ)し、特定の国に帰属せず、一旦プールされた上えで、全ての被支援国にESM Base Rateと呼ばれる金利が適用される。
ESMが金融支援を行う場合、欧州委員会や欧州中央銀行(ECB)、国際通貨基金(IMF)が支援申請国の状況を詳細に査定し、ESM理事会やESM取締役会から承認を受けなけル必要があり、金融支援が決定した際には、被支援国は主に財政再建を目的としたマクロ経済調整プログラム(Macro-Economic Adjustment Programme)の遵守が条件として課され、定期的に査察が行われる。
欧州安定メカニズム(ESM)と欧州金融安定ファシリティー(ESFS)の違い
ESM | ESFS | |
---|---|---|
法制 | 国際公法に基づく政府間機関 | ルクセンブルク法に基づく民間企業 |
継続期間 | 恒久的機関 | 時限機関 (2010年6月-2013年6月) |
資本/保証構成 | 資本金:7,000億ユーロ 800億ユーロ:予め払い込まれる 6,200億ユーロ:請求次第払込み | 保証:上限7,800億ユーロ ユーロ圏加盟国が分担 |
資本/保証の支払い | もし加盟国が金融支援を要請したり、融資を受けたりしても、資本金の支払いを行う | もし加盟国が金融支援を要請したら、その加盟国は保証負担から外れる |
最高貸付金額(融資能力) | 5,000億ユーロ | 4,400億ユーロ |
貸付金の請求権 | 優先債権者(IMFに次ぐ) | 平等 |