投資用語集

エンロン

英語
Enron Corp.
関連語
エンロンショック , キャッシュフロー経営 , ITバブル , 時価主義会計 , 循環取引 , ワールドコム , SOX法
カテゴリ
経済 ,

アメリカ合衆国テキサス州ヒューストンに存在した総合エネルギー取引とITビジネスを行う全米でも有数の大企業のことで、巨額の不正経理・不正取引による粉飾決算が明るみに出て、2001年12月に破綻に追い込まれた。

エンロンの起源は、1931年に数社のエネルギー関連企業が集まってできたノーザン・ナチュラル・ガスに遡り、1980年代には、業界の先端を走るようにガス取引に積極的にデリバティブを取り入れ、企業規模を拡大し、エネルギー業界に限らないキャッシュフロー経営の最先端企業となり、ITバブルの波にも乗り、1990年代後半にはエンロンは革新的でなおかつ安定した成長を続ける超優良企業としての名声を確立していった。

一方で、1980年代から粉飾会計に手を染め、時価主義会計を利用して見かけ上の利益を水増しする、合法ぎりぎりの会計も積極的に利用して売上・利益を増大させてるとともに、インサイダー取引も行われていた。また、1990年代後半には、デリバティブで電力価格が分かり難くくなっていることを利用して、同量の電力の売りと買いを発生させて実質の取引量がゼロであるにも関わらず売上を上げる循環取引も積極的に取り入れ(この循環取引は2000年のカリフォルニア電力危機の原因の一つともなった。)、1998年には利益に占めるデリバティブ比率は8割を越えた。

また、取引損失を連結決算対象外の特別目的事業体(SPE)に付け替えて簿外損失とすることも積極的に行われ、全米有数の会計事務所であったアーサー・アンダーセンや顧問法律事務所も、数々の違法スレスレのプロジェクトの遂行や粉飾決算に加担していた。

2001年10月17日、ウォールストリート・ジャーナルがエンロンの不正会計疑惑を報じ、証券取引委員会(SEC)の調査が始まった。SPEの特殊なスキームによってエンロンの株価が一定額を下回るとエンロン本体に巨額な債務が発生することが判明し、それがさらにまた株価を押し下げるなど、状況は加速度的に悪化し、同年12月2日にエンロンは連邦倒産法第11章適用を申請し、事実上倒産した。

エンロン破綻以降、アメリカの大企業で次々と粉飾決算が発覚し会計不信が広がり、2002年にはワールドコムの不正経理が明らかにり倒産する事態となった。また監査を担当しながら、会計粉飾やその証拠の隠蔽に関与していたアーサー・アンダーセンの信用は失墜し、世界5大会計事務所の1つと言われた名門会計事務所は解散を余儀なくされた。その後会計・監査・情報公開などの制度見直しが行われ、2002年7月には上場企業会計改革および投資家保護法(通称SOX法)が制定された。

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