投資用語集

アウトライト・マネタリー・トランザクション

英語
Outright Monetary Transactions
同意語
OMT
関連語
ECB , 不胎化 , EFSF , ESM , SMP
カテゴリ
経済・金融政策 ,

2012年9月に導入された欧州中央銀行(ECB)が南欧諸国の国債を直接買い入れるプログラムのことで、償還期間が短い債券(残存1年以上3年未満の国債)を中心に予め量的上限を設けず買い入れ、OMTを通じて供給された流動性は完全に不胎化され、民間部門債権者やその他の債券者と同等(pari passu)の扱いを受け、優先債権者待遇が適用されない。

OMT導入により、短期国債に買い入れの焦点を当てたことで、イールドカーブはブルスティープ化(短期金利の低下に伴い長短金利差が拡大すること)し、金融機関や政府の破綻リスクやカウンターパーティーリスクの低減を通じて金融市場の緊張を和らげる効果が期待できる。

またOMTの適用国には欧州金融安定ファシリティー(EFSF)・欧州安定メカニズム(ESM)のマクロ経済調整プログラムあるいは予防的プログラムの順守が求められ、ECB理事会は完全な裁量と金融政策の責務に沿った行動により、金融政策の観点から正当化される範囲で、またプログラムの条件が完全に順守されている限りにおいてOMTを検討し、目標が達成された時点、あるいはマクロ経済調整プログラムの条件が順守されない場合にはOMTを中止ことができる等ECBの関与が弱く失敗に終わった証券市場プログラム(SMP)の反省を活かし、より強いECBの関与が打ち出されていて、OMT導入に伴いSMPは中止された。

しかし、OMTの発動には、EFSF・ESMのマクロ経済調整プログラム等に正式申請し、財政・構造改革実行に関する条件を受け入れなければならず、SMPと比べ支援を受ける条件は厳しく設定されており、各国が拠出するセーフティネットであるEFSFが国債を購入しない限り、ECBは市場で国債を買えなくして、単独での機動的な国債購入ができないという制約を自ら設けることで、欧州債務危機が解決に向かうかどうかの決断を欧州各国政府側に委ねただけであるという指摘もある。

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